雨垂れ笹雀

不定期更新でUnityとか創作とかについて書くはずのブログ。ブログ?任せとけよ、もう5,6回はエタった事あるぜ。

インディーゲーのタイトルは「略されないようにする」のが効果的なんじゃねって話

インディーゲーのハードルの一つは知名度問題ですよね。仮に大傑作が出来たとしても、誰にもプレイしてもらえなかったら意味がないですし、埋もれてしまわないよう出来ることは可能な限りやっておきたい。

しかし、企業のように広告をドカドカ打ち出したりもできない以上、名前を知ってもらうにはSNSなどでの口コミ効果がファクターとしてとても大きいというのはみなさん思っているんじゃないでしょうか。

 

 

みなさんご存知であろう『Helltaker』は、まさにその口コミ効果で広がった作品だと僕は認識しているのですが、その要因のうち一つはタイトルにあるんじゃねえかって思ったので、サクッと書き留めておきます。

 

 

『Helltaker』は初めて名前を耳にしてから、存在を認知するまでのプロセスがかなり早かったというのが僕の体感としてあります。

口コミが効果を発揮するまでって、だいたいざっくり分けて3段階くらいあると思ってまして。

 

「知らない名前だな?」→「最近よく名前見るな?」→「流行ってるから俺もやってみるか」

って感じ。初めて名前を見た瞬間全員がシュバババと寄ってくるんじゃなく、名前を見た回数の積み重ねで段階が進んでいく印象です。

僕はアンテナかなり低いほうなので、段階を追う速度も遅いと自認しているのですが、『Helltaker』に関しては一段階目から三段階目まで相当早かったと思います。

 

それがなんでかな~って考えてたんですが、その理由は「覚えやすい名前を毎回フルネームで見たから」ってのが要因としてあるんじゃねえのって思った次第です。

覚えやすい名前の方がいいってのは皆さん直感的に考えると思うんですが、略称は別によくね?って感じると思うので、なんで略称がアカンと思ったのかから説明していきましょう。

 

略称って、頭に定着するまでに時間かかりませんか?例えば『PUBG』なんかは、あの流行り具合だったにも関わらず、名前覚えて作品を認識するまで、僕はそこそこ時間かかりました。

そもそも読みづらいので、頭に残りにくい。パブグ?プブゴ?まあ普通に考えてピーユービージーなんですけど、なんにしろ日本人の脳みそに馴染み深いとは言い難いですし、パッと見で読めないってことは覚えようとしない限り覚えない。

PとUとBとGでは特に意味も通らないので、このアルファベットの羅列を覚えない限り、PUBGというタイトルを覚える事はない。

かといって、じゃあ『Player Unknown's Battle Grounds』って呼ばれてたら僕が一瞬で覚えてたかっつーと、まあさすがにそうではない。単純に長過ぎるので、「パッと見で読めない」理論にひっかかります。

 

抜け道として、「意味の通る略称にする」というのはあります。『GTFO』とか(ゲームとしては略称じゃないけど)。GTFOとは元々「Get The Fuck Off」の略称スラングで、Fuckが入っているのを見ればわかる通り丁寧な言葉遣いとは言えませんね。

しかしゲームのタイトルが『GTFO』ならGet The Fuck Offと紐付いて読める=単なるアルファベットの羅列という認識から脱却出来ますし、えっこれがゲームのタイトルなの!?と、元々の単語の意味合いもありインパクトがあります。

 

しかしこれを似た手法で略称をネーミングしようとしても、残された弱点がもう一つあると思います。

略称から作品の名前を逆算する事というのは出来ないので、結局略称から作品へと辿り着こうと思ったら自分から調べなくてはいけない

この「調べる」のひと手間も、口コミという観点から見れば些事だとは思えません。人々の脳みそに情報が受動的に刻まれるのが口コミのいいところなのに、辿り着くまでにアクションを増やしたくはない。

 

それに、Google検索に略称を打ち込んだら正確にゲームの名前が出てくるようになるまで、どのくらいかかるのでしょう。そこまで行った時点で知名度問題だいたい解決してるのでは?

ただでさえ世の中に略称というのは有り溢れてます。適当にアルファベット3文字あたりでググってみたら、1ミリも知らない団体とか専門用語がモリモリ出てきますよ。

僕も試しに適当にタイピングしてみたら、「usa」になった。アメリカ合衆国だこれ。

 

ともあれここまで説明すれば、略称が用いられたらその時点で口コミ拡散的には不利なんじゃねえの、って僕が思ったのは無理からぬ話というのはわかってもらえるかと思います。

 

 

ならば逆に、どんなタイトルならいいのか。

そこで、『Helltaker』の話に戻ります。僕はさっき、『Helltaker』の勝因を「覚えやすい名前を毎回フルネームで見たから」と言いましたが、その分解をしましょう。

 

まず「覚えやすい」の方。タイトル自体『Hell』と『Taker』の二単語をくっつけただけなので読みやすく、覚えやすいです。

英語に明るくなくても「地獄を獲るマン」的な直訳はすぐ思いつくだろうし、その仰々しさと力強さからなんとなくゲーム内容を想像してしまいますよね。基本中の基本ですが、タイトルが作品内容を説明するというのも略称には出来ない事です。

 

この時点、つまり、タイトルを初めて見た時点で、各々の頭に『Helltaker』の文字と想像した光景がビジュアライズされると思うんですよね。

 

次に略称が用いられない事。『Helltaker』を『HT』って略してる人は、多分みんなあまり見たことないんじゃないでしょうか。『HellTakerLucifermettyakawaii』なら喜んで『HTL』と略しますが、縮めると二文字ってのはそもそもちょっと略しにくい。

決まりが悪いところを無視してまで略したくなるほどの長さではないですし。そもそもタイトルは『Hell Taker』という単語区切りではなく『Helltaker』とくっついている。このくっつきもまたでかい。

 

よって『Helltaker』に略称はあまり用いられない。よって『Helltaker』は、「読みやすく、覚えやすく、略しづらい」という、絶妙なラインを突いてきていると思うわけです。

 

元々タイトルが長いせいで略されちゃうんだから、だったら略されない長さにすればいいじゃない。ついでに英単語くっつけたらいいじゃない。あら簡単!

実際これがどこまで効果があるのかは実験をしたわけでもないのでわかりませんが、少なくとも僕個人においては、『Helltaker』の名が脳内に辿り着くまでの間、上記が影響した事は間違いないと思います。

 

とまぁ書いてきましたがいかがだったでしょうか。

僕は普段、密着ブロックパズルを「ABP(俺以外使ってるやつ見たことない上にAdBlockPlusと被ってる)」と略すほどの略称クソ野郎にも関わらず、Helltakerだけは毎回フルネームなので、アレ~って思ったのがきっかけで書いてみました。

 

なお当然ながら、略称自体が悪習というわけではなく、略称には「語感良くなる」とか「タイピングしやすくなる」とかメリットもいっぱいあります。

そもそも悪い例として上げた『PUBG』は問題なく流行りまくって定着してるわけで、決して俺の理論に背くイコール死というのではありません。

しかし、知名度が喉から手が出るほど欲しいインディーゲーにおいては、こうしたちょっとした差が見えないところで影響を及ぼす可能性もあるのではないかという話です。

 

作る側=ネーミングをする側からすれば、タイトルと略称というのは切って離されたものではありません。

ですが、SNSという限られた情報が切り抜かれて遠くへと流れていく時代では、「片方の側面からだけ見た情報」にも気を使えたらとグッドかもしれませんね、という思いつきでした。

 

どうでもいいですが、このブログのタイトルは読みづらくて意味が通らなくて覚えづらくて雨垂れって略しやすいのでマイナス100億点ですね。