Unity一週間ゲームジャム 第二回ヌリカミー賞授賞式 お題『ふえる』
アァ……!イツオーバァ……!
いやぁ今回のu1wは強敵でしたね。作品数も期間もイベントも後悔も盛りだくさんすぎて死ぬかと思いました。一個やたらブラックなのがありましたが気のせいですね。
いやぁ~楽しかった。開幕当時はベッドの上で力なくビチビチする死にかけの魚だった僕も、今では参加してよかったと思っています。
なぜゲームジャムに参加するだけで生命の危機に陥っていたかというと……まぁ、その件は前回の記事でアホほど書いたのでそちらをご覧ください。
しかし!急死に一生、違う、九死に一生を得てなんとか生き延びた僕のもとに、とうとうヌリカミー賞授賞式のお時間がやって参りましたよ!
ヌリカミー賞とは!
僕が個人的に気に入った作品に対して、僕しか考えてなさそうな視点から褒めたり分析したり妄想したりするという、ありえないほど隙間産業を狙いに行く賞である!
ちなみに前回の記事はこちら。
後で読み返して気づきましたが、前回はなんと記事の大半が「ちなみにこれは僕の妄想です」で終わっているため、ゲームの話と思いきやだいたい僕の妄想を垂れ流しているだけというオカルト雑誌みたいな内容の狂気のサバトと化していました。タイトルを月刊ヌリカムーに改名した方がいいかもしれない。
そんなわけで今回は飛躍した妄想は控えめにしつつ、なおかつ自分が褒めたいところを褒めるスタイルは維持しながらやっていきたいと思います。
というわけで早速行きましょう!レッツ!ヌリカミー!
( ^ω^)…………えっ?いや、掛け声ですけど……
( ^ω^)流行らないか……そっか……
・『コケモドキと魔女』~~コケモドキのファンタジー風にゆるパロを添えて賞~~~
『コケモドキと魔女』はシンプルなサイクルのゲームだ。
生えてくるコケモドキを収穫して、コケモドキの種類とサイズと魔女のコメントを見てはウムウムと頷き、また次のコケモドキを摘みに行く。
これを繰り返していくのがこのゲームだ。しかし不思議と飽きを感じないのは、この世界作りのなせる技だろうか。
魔女の一言二言のコメントもセンスが良く、もっと色んなコケモドキを探しに行こうという気持ちになる。たとえハイスコアが更新されなくとも、新種のコケモドキを見つけるのは楽しいものだ。
コケモドキと魔女の世界観において驚異的なのは、ここまで幻想的に仕立て上げられているにも関わらず、独特の緩さからなる親しみやすさを挟むことに成功していることだ。
洒落の効いたコケモドキの名前や、やや気の抜けた魔女のコメントなどにより彩られたこのゲームは、美しくも格式高さを感じさせず、構えさせず、プレイヤーを自然に世界観へ溶かしこむ。
幻想と親しみの調和というのは、とても難易度が高いブレンドだと思う。
幻想とはすなわち現実感との乖離であり、親しみとは自己との共感であるため、立ち位置としては対極に近い。バランスが悪ければ共倒れしてしまいそうな危うさも感じさせる組み合わせだ。
しかしこの2つをきちんと両立させ、あまつさえパロディやメタネタさえ挟んでいるのに世界観を保ち続ける事が出来るのは、センス以外に言葉がない。
この「幻想+親しみ=癒やし」という高難度のレシピをしっかり料理してみせた『コケモドキと魔女』には、「コケモドキのファンタジー風にゆるパロを添えて賞~」を送りたい。
・『ふえる飛空艇パズル』~~100万トン分くらいの重みがあるバラバラな要素が飛空艇になって飛んでる!!!賞~~
ランキングが開票され、このゲームの名が総合ランキングに見当たらなかった時、僕はかなり驚いた。
事前に今回のお気に入りゲームを考えていた時、ふえる飛空艇パズルはかなり上位に入るシロモノだったからだ。完全に入るものだと思いこんでいた。
ファン心理というのは勝手なもので、自分のことでもないのになんだかアテが外れたような気分になってしょんぼりする。このゲームをもっと宣伝して回りたい気分にもなる。
しかし幸いに、僕にはお気に入りゲームを紹介する機会があった。ならば書くしかないだろう。
ふえる飛空艇パズルは、飛空艇に点在する燃料を取りに行ってはエンジンに投げ込み、最終的な飛距離を競うゲームだ。
燃料とて飛空艇の一部なので、うかつに外しては接続部を失い部品がちぎれ飛ぶ事もある。
深部に眠る燃料に向かってえっほえっほと船を掘り進みつつ、船自体には健康体でいてもらう。この忙しなさがふえる飛空艇パズルの醍醐味だ。
では、ランキング評価に影を落としているのは何かというのを考えると、やはり操作面に少し癖がある事が上げられるだろう。
掴みなどの操作に関しては慣れが必要なだけで個人的には全然悪くはないけれど、移動面でやや操作ミスが起きやすいのは否めない。
1ブロックしか空いていない横穴に入るのは大変だし、崖っぷちでトゲに向かって足を滑らせて落下死する事もままある。
プレイしているうちにさして気にならなくなる面もあるが、そういった操作性に対して慣れるための時間が、楽しさの項目も引っ張って下げているというと考えられる。
なぜわざわざそうしたマイナス面の話を始めたかというと、俺はあえて「そんなモンはどうだっていい」と主張したいからだ。
いや、どうだってよくはないが。しかし、このゲームにはこの弱点を挽回しさらにはお釣りがジャラジャラやってくるような、重要で刮目すべき大きな魅力があって、それは何よりも「これが新しいゲーム体験である」ことだ。
船を掘り進むのは楽しいし、仮にも船の核たるエンジンを乱雑にぶん投げまくるのも楽しい。
突如として発芽したオレンジ燃料郡に目を輝かせて飛びついたり、沈みゆく飛行船だったものから必死に脱出するのも乙なものだ。
ふえる飛行船パズルには、一週間ゲームジャムにおいて信じられないくらいに大量の要素が詰め込まれているし、そのどのエッセンスも輝きを放っている。
増える、掘る、飛ぶ、投げる、繋ぐ、放り込む……。
ただでさえ、新たなアプローチで面白さを追求するというのは生半可でない労力と技術と勇気を求めるし、「新しいゲーム」を作ろうという開拓精神を持った開発者さんはそれだけで尊敬する。
その中でも、ふえる飛行船パズルが持つこの物量というか、システムが持つ耐久度とでも言うべき根の強さには圧倒される思いだ。
もちろん、要素数は多ければ良いというものではないし、必要最低限のものでバッチリまとめている人も素晴らしい。
けれど僕が拍手を送りたいのは、ゲームを面白くするぞという貪欲さが溢れるような作り込みと、それを実現する技術力と執念だ。
リリースした後もキーコンフィグの追加などのアップデートをしているのを見て、僕は本当に頭が下がる思いだった。
例え総合ランキングがどうだろうと、こういった熱量あるゲームこそがゲームジャムを支える大黒柱だと思うし、ゲーム作りの深みを見せてくれる先達的存在だと思う。
ここまで大量の要素を見事にまとめ上げたふえる飛空艇パズルには、『100万トン分くらいの重みがあるバラバラな要素が飛空艇になって飛んでる!!!賞』を送らせていただきたいと思います。
名前でバランス取りに来たとか言うな。
・『BOAT LIFT』~~勤労感謝への橋渡し賞~~
『BOAT LIFT』は、川を通りかかるボートの往来のため、水位を上げたり下げたりして渡らせてあげるゲームだ。
下からボートが来れば、合流ポイントに乗った後クリックで水位を上げて渡す。上から来たらその逆をやる。理屈は簡単なので、至ってイージーな仕事だと思うかもしれない。
しかし忙しなくやってくるボートたちを的確に橋渡しするのはかなり大変で、不慣れなうちは渋滞の発生もしばしば見られる。
上流下流の合流ポイントにいる船しか橋渡し出来ない分、いかんせんリアルタイムで個別に対応してあげなければいけないので、これがなかなか大変だ。
交通量のピークになると、あちらを立てればこちらが立たず。途切れる事なくやってくる客を捌ききれない様はまさに忙殺。
てんやわんやになりながらもなんとか行列を処理すると、やっと一日が終わる。これだけ詰まると、得点はあまり高くない。言うところの安月給だ。
しかし、悪いことばかりでもない。
通過するボートたちは、 みな「Thanks!」と言って去ってくれるのだ。
人によっては結構待たせたはずだが、 催促をすることもなく、去り際に文句一つ言うことなく謝意を述べて帰ってくれる。
確かに大変だったし、ボートがクリックを邪魔するなど先方の都合に振り回されることもあるが、「Thanks!」の一言があれば、終わった頃には「まあいっか」と思えるのだ。
労働の大変さと少しの美しさを缶コーヒーのCMか如くに表現し、わずかな感謝ひとつの威力と尊さを伝えてくれる『BOAT LIFT』には、「勤労感謝の橋渡し賞」とThanksの一言を送りたい。
( ^ω^)でさ……このThanksについて作者さんに言ったらさ……
プレイありがとうございますー!
— ピコラボ023号機 (@Picolabo023) 2020年8月24日
ポイント加算のタイミングがイマイチ分かりにくかったのであまり深く考えずに実装してましたが、なるほどそんな効果が…!貴重なご意見ありがとうございます!
( ^ω^)……
(^ω^)今お前「こいついっつも妄想で記事書いてんな」って言ったよな?
・『そうめんデストロイヤー』~~納涼氷上ナチュラル流しそうめん賞~~
僕はこのゲームが好きだ。とても好きだ。けれど、失礼を承知で言うとあまり多くの人に賛同はしてもらえないかもしれない。
確かにそうめんデストロイヤーには、高度なパズルや爽快で派手なアクション、美麗なグラフィックがあるわけではない。ゲームのサイクルもシンプルだし、操作性も抜群に良いとは言えないと思う。
では、何があるのか。
センスがある。
どこから挙げればいいのか迷うのだけれど、じゃあまずはタイトルと作者名から見ていこう。ゲーム一覧に表示される、最も基本的な情報のうち一つ。ゲームをやろうとすれば一番最初に見る部分だ。
このゲームは、「最低やさいコーナー」さんが作った『そうめんデストロイヤー』だ。
もう一度言うが、「最低やさいコーナー」さんが作った『そうめんデストロイヤー』だ。
もしu1wに「ワードセンス」という評価項目があれば、その時点で部門1位は確定といっていい。やさいコーナーに最低とか最高がある事も、そうめんをデストロイ出来る事も僕は知らなかった。
ちなみに共同開発者にかいわれさんがいらっしゃるので、最低やさいコーナー&かいわれチームという事になる。素晴らしい字面だ。
次にチュートリアルを見よう。どうやらこのゲームはそうめんが仕送りで無限に送られてくるので、埋め尽くされないうちにダンボールに詰め、メ○カリで売りさばこうということらしい。
ちなみに、僕がプレイした当初は「メルカリ」と書いてあったはずだが、後日確認すると「メ○カリ」にアプデされていた。細やかな心遣いだ。
ゲームを始めてみれば、目の前にはおあつらえ向きな箱と怪しげなレバーが生えている。梱包完了するとなんとも言えない音を立てて爆発する箱と、引くとその箱が降ってくるレバーだ。
いかなる機構なのか、そしてなぜ我が家にこんなものが実装されているかはとにかく謎だが、考えている間にもそうめんは降ってくるので梱包するしかないだろう。
無造作に散らかったそうめんを拾い集めて、箱に詰める。もちろん、手作業で一個一個つまんでは箱の中にしまうのだ。ボタンひとつで箱の中へと勝手にポンポン送られたりはしないので、こぼさぬように丁寧に梱包してほしい。
四苦八苦しながらそうめんを詰めて箱の爆発を見届けたら、そのまま窓の外にポイだ。メ○カリに送るという話だったが、窓の外にポイでいい。郵便局へ行く手間が省けるのはありがたい。
このようにしてそうめんを詰めていくはいいが、そうめんの増えること増えること。 仕送りとやらはどうやら実家から我が家へテレポートかつ生の袋のままで送られるらしく、せっせとそうめんの箱詰めを終えて後ろを振り返れば、今詰めた量の数倍のそうめんが床に横たわっているのを見ることになる。
どうせなら箱に詰めて送ってくれれば梱包の手間が省けるものを。そう考えているうちにも、両親は良かれと思ってかそうめん袋をドカドカ転送してくる。
やけくそという程の速度ではないが、明らかに梱包よりも早い速度で送られてくる。毎昼一束茹でるくらいならばそうめん消費が間に合わなくても仕方ないが、片っ端から売りさばいても消費出来ない量のそうめんを仕送りしてくる両親は相当なそうめんフリークだ。
供給量が消費量より多いとなっては、当然そうめんは増える一方だ。モタモタと詰めては窓にポイを数回繰り返せば、ソーメンゲージ(ここだけカタカナでソーメンになっている)は中ほどになっている。
そろそろ床にはそうめんばかりで足の踏み場もないのだが、これでもまだ半分であるという我が家のそうめん許容量には感謝するばかりだ。
箱に詰めたり、爆発を見届けたり、そうめんが箱に突っかかってひっくり返すなどをやっているうち、そうめんインフレーションが限界を迎えてゲームは終了する。
これでワンセット。いかがだっただろうか、そうめんデストロイヤーは。
僕がこのゲームにおいて圧倒されるのは、この「3Dゲームのシュール」をナチュラルかつ完璧に体現化している部分だ。
そもそも傾向として、3Dゲームというのはシュールに見えやすい。2Dよりも情報量や描画量が増えた分、デフォルメという武器が使いにくくなったからだ。
そうめんデストロイヤーとて、もしこれがドット絵で見下ろし型のゲームだったとしたら、床にそうめんがポトポト落ちていてもさほど絵的な面白さを感じはしないだろうし、箱が梱包完了の合図に爆発しても「ワハハ、なんじゃそりゃ」と流せるだろう。
デフォルメされているがゆえに描かれていないのだろう、あるいは、極端に誇張表現されているのだろう、と脳内補正する部分。それを脱ぎ去った3Dにおいて、ゲーム空間はたびたびシュール芸術のキャンバスとなる。
なぜ、仕送りは執拗にそうめんなのか。なぜ、そうめんは天井から降ってくるのか。なぜ、この箱は梱包すると爆発するのか。なぜ、頑張って梱包したそうめん箱を窓からポイするのか。
挙げれば暇がないが、こうした理不尽で非現実的な出来事やルールたちを、我々は現実的な物理演算に即した箱詰めを行いながら見守る事になる。
リアリスティックなグラフィックと世界構造に、ノンリアリスティックな描写が同席する。「現実性」が「ゲーム性」に敗北する。これこそが「3Dゲームのシュール」というものだ。
そして僕が何より心を打たれたのは、ゲームの説明欄にある2つの文章だ。
まず、操作説明にある「(つかれたらGのキーを押すとゲームオーバーになれます。)」だ。
そうめんデストロイヤー作者の方々は、自分たちのゲームがウンザリされる事を覚悟していた。そしてそんな時のために、即座にゲームを終了するという選択肢を用意しているのだ。
自分のゲームに「飽きたら速攻終われる機能」を実装するというのは、果たしていかなる心境なのか。ましてや、さして尺の長いゲームでもないのに。
Unityroomに存在するゲームはブラウザゲー。飽きたというならブラウザバックだってできるというのに、あえてゲームの方から首を差し出す。醜く生き長らえるよりも腹を切るという、潔く刹那的な侍魂を感じ取る事が出来る。
そして紹介文の最後にある、「はじめてunityを触る二人で制作しました。まだ何もかもわかりません。もし処理おもかったらごめんなさい。次はもっとうまくやれるはずです。」だ。
次はもっとうまくやる気でいる。僕はこの一文を見た瞬間、言いようのない安心感を覚えた。
天然だった。そうめんデストロイヤーに独特のシュールが存在するとは言ったが、あれは間違いなく天然のシュールだったのだ。
「シュール」という言葉はハイコンテキストすぎるあまり、たびたび言い訳や単なる不条理の材料とされることもあるが、そうめんデストロイヤーにそれはない。シュールという言葉に甘えて手を抜くつもりなど断じて無い。
この作品は二人の開発者の努力によって作られた、純粋な努力の結晶だったのだ。
シュールギャグというジャンルは、薄氷の上に成り立つ世界だ。受け手が「こいつウケ狙ってんなあ」と感じたが最後シュールという概念は崩壊し、ひたすら滑り倒しまくりのスケートリンクと化す。
しかしそうめんデストロイヤーは、シュールギャグではなかった。これは純然たるゲームであり、シュールはただ滲み出たものをプレイヤーである僕が勝手に感じとっていただけだった。
こうした作品というフィルターを通してなお削ぎ落としきれない「ナチュラル」こそが僕が個人制作の創作物を好む理由であり、僕がUnity1weekを楽しいを感じる理由である。
「ゲーム」は年々どんどんハイレベルになっている。特にAAAタイトルとくれば、技術も金も労力も全てが注ぎ込まれた、まさに叡智の結晶と呼ぶべきもの。こんなものに一個人が立ち向かえるか?と聞かれれば、断じてNOと答えるべきだろう。
では、AAAタイトルさえあれば個人制作のゲームは無価値なのか?と聞かれれば、これもまた断じてNOと答えられる。
なぜなら、会社からは『そうめんデストロイヤー』のようなゲームは決して出ないのだから。
AAAタイトルが叡智の結晶ならば、個人制作は「ナチュラル」の結晶であり、『そうめんデストロイヤー』こそがその体現者であると考える。
透き通った純氷のような輝きを持つ『そうめんデストロイヤー』には、「納涼氷上ナチュラル流しそうめん賞」を送らせてもらおう。
・「暗カン シミュレーター」~~はじめに神は豆腐屋を創造された賞~~
皆さんの麻雀経験において、今までにアガった事のある一番大きな手とは何でしょうか。
国士無双十三面待ち?字一色大四喜?みなさんかなりのラッキーボーイですねえ。
ちなみに僕は、リーチツモ字一色四槓子ドラ544裏544の1116翻10008000点です。サウザンド役満?
『暗カンシミュレーター』をスタートした時、プレイヤーを迎えるのはまばゆいばかりの白と白と白と白だ。我々はこれが麻雀ゲームでない事をこの時点で悟ることができる。
すでに字一色天和というダブル役満が確定しているのだが、こんなものにシッポを振ってアガりを選ぶようでは、はっきり言って暗カンシミュレーター界では生き残る事ができない。ルーザードッグだ。このゲームに天和ないしな。
このゲームには一発とか嶺上開花とか、フリテンとか流局とか、萬子とか索子とか、そういったちょこざいな要素は取り入れられていない。
ただリーチしてカンしてアガるだけだ。ちなみに役牌も付かない。
槓ドラにはヤケクソのように中が眠っているので、とにかくカンしてドラをめくる。限界までめくる。他家のみんなもめくってくれる。
ちなみに山という概念も存在しないので、限界まで槓ドラをめくったらあとはリーチをかけ、満足するタイミングでアガったらいい。河が画面外まで氾濫しても対局は問題なく進むのだから。
『暗カンシミュレーター』の素晴らしいところは、バランス感覚にあると思う。
今回のお題は「ふえる」なわけで、我々は色々なものが増えに増えまくっているのを目にしてきたわけだが、その中でも暗カンシミュレーターは印象的だ。
しかし、増え方で言えば暗カンシミュレーターの規模を超えるものは他にも存在する。ではなぜ暗カンシミュレーターはここまで強烈なのか?それは意外性にある。
スライムとかゾンビとか忘れたい記憶とか、いかにも増えていきそうなやつらが増えたとしても、納得感はあれどインパクトは薄い。
しかし、暗カンシミュレーターのテーマは麻雀だ。1種類あたり4枚しかないはずの麻雀牌が、開幕ですでに白だけで14枚揃っているという暴挙。カンをすれば雨後の筍のように中が生えてくるし、対戦相手たちは發をカンする事に人生をかけている。
明らかに増えてはならないものが増えている。そして誰もそれにツッコまないし、当然のようにゲームが進んでいく。自分だけがこの世界に置き去りにされたような衝撃。狂気とモラルの緩急、それが暗カンシミュレーターが見せてくれるものだ。
なお、暗カンシミュレーターの親戚的存在として『もしも大富豪のカードが3の倍数を出すたびに増殖したら』が思いつくけれど、あちらはルールの倫理観はいかれているものの、ゲームとして原典のセオリーを貫いてはいる。
暗カンシミュレーターは、あろうことかこれでシミュレーターを名乗るふてぶてしさを持ち合わせているのが大富豪との大きな違いだ。その大胆なハッタリ力を称賛するため、「はじめに神は豆腐屋を創造された賞」を送らせていただこう。
~~ここから数行バージョン~~
前回同様、ここからはショートバージョンでお送りいたします。
なお前回も言いましたが、ロングかショートかは書く文章量の多寡によってのみ決定されるので、ショートバージョンだからといってロングの作品より好きじゃないというわけではありませんよ!
『世界の見え方』~~ヌリカミー総合芸術賞~~
好きすぎてとうとう賞の名前すらまともになってしまった。
この作品の内容についてあーだこーだと語る事自体が無粋なので何も言わないが、あなたが少しでもドット絵に魅力を感じた経験があるならやってほしい。
お題へのアプローチ自体もそうだけど、表現の芸術性と完成度が素晴らしい。表現力という意味でこの作品よりも美しい取り組みをしていた作品はなかったと思う。
『しあわせメーカー』~~岩戸の外でどんちゃん騒ぎしたけど天照はしあわせメーカーに夢中で出てこなかった賞~~
瞬時に判断をする系のゲームの中でも、しあわせメーカーが鋭いゲームプレイ感を持っている所以は、「リロールするか自分で決める」というシステムが持つエッセンスにある。
どの壺が高くてどの壺が安いかというのはある程度決まっているので、理論上は一番高い壺だけ買い続ければ良い。けれど、実際は毎回一番高い壺を引けるほど人間はしあわせではないので、ある程度の所で妥協も必要だ。
どの程度安物で賄ってどこで勝負するかという押し引きが重要なゲームだと思うんだけど、どんだけやっても1位のamaterasuに勝てなかったから合ってるかどうかよくわからない。俺の代わりに天照が書けよこの記事。
『劇場』~Show must go on賞~
この世は舞台、人々はみな役者。
ならば、大根役者も居て然り。
『独り組』~~ちぃちゃんの"影送り(ハロー・マイ・シャドウ)" 賞~~
自分の動きをレコーディングして呼び出すっていう発想は僕が知る限り初めて見た。このシステム一つですでにすごく面白いし、これからアップデートをする予定もあるみたいですごく楽しみなゲームの一つです。
ちなみにこの必殺技風のブツは僕が今考えただけなので、全然気にしなくて大丈夫です。主人公の名前もちぃちゃんじゃないと思います。
『分身忍者』~~僕は今分身忍者は好きだけどパズルゲーは不得意という分身状態賞~~
僕はパズルゲームというものが全然得意じゃないんだけれど、分身忍者は最初から最後まで楽しく遊ぶ事が出来て本当にびっくりしました。
ステージ攻略型パズルだと、「俺もう出来ること全部やったけど」みたいな状態になって詰まる瞬間が来るのが苦手なんだけれど、分身忍者の場合はシステムが程よく強いので、明らかにまだ出来る事あるな~って思えるのが良い。自分がシステムを完璧には扱えてないのがわかるから。
多分逆算でいける仕組みになってるのがいいのかな?悩む瞬間とかはあったんだけど、思索している最中もしっかり進歩している手応えがあって気持ちいい。
なんだか僕はこのゲームにパズルゲーの楽しさを教えられた気分です。パズルゲームって、楽しいよね!えっゼリーのパズル?The Witness?あっ大丈夫っす……
『フエルフエル』~~点線までお湯を入れて12秒で出来上がり賞~~
やはり俺としてはこのゲームをノミネートしないわけにはいかないな……!
左と右に回転するのみというシンプルな操作性ながら、その実、技術介入度はとても高い。初回はクリアするのに何分か要するかもしれないが、やっていくうちにみるみるうちにスコアが縮んでいき、10秒台に突入すればあなたもu1wランカーズ。
壺ゲー的な一癖ある操作感からなる、上達の喜び、最適化の苦悩、ハイスコアの高揚。ゲームを上達し競うという醍醐味を詰め込んで真空パックしたインスタントeスポーツ、それがフエルフエル。
u1wランカーズの門はいつでも開かれている!お前らの挑戦待ってるぜ!
あと、u1wランカーズとかいう明らかにバカ丸出しっぽい単語を言い出したのは断じて俺じゃないという事も言っておくぜ!
『クーニャンのおうち』~~タワマンというよりピサの斜塔賞~~
落ち物パズルと物理演算、そしてシュールとキュートの合わせ技。複合的な要素を織り交ぜながらもとても高いレベルでまとめる技が光る。
単純にハイスコア目指してうまく積んでいくパズルとしても楽しいし、物理演算と絵面の面白さを楽しんでもいいし、どこまでQoLの低みを突き詰めた住宅にできるかを目指してもいい。
この作品が持つ懐の広さは間違いなく作者さんの技巧の賜物であり、万人が笑顔になれるゲームというのは疑いようもなく素晴らしいものだ。
『農場娘は5秒ごとに増殖する』~~地球破壊農場娘賞~~
農場娘が5秒ごとに増殖するようになったというある種のパニックホラー的設定を無理やりまとめる文才が光る。バイバインですら5分間隔なんだぞ。
必殺モードであるハーベストショットに入るには、農場娘を一人消費するという残忍さも良い。ボスのセリフも好き。オチも好き。
ヌリカミー賞はこういった抜き身のセンスを持ったようなゲームを褒めちぎるために存在すると言っても過言ではない。
『楽ガキ退散 笛ルナ』~~あまりにもアンストッパブルフォース賞~~
u1wワードセンス部門優勝候補、そうめんデストロイヤーの対抗馬。
「この設定いる?」ボタンでストーリーを見てみると、見知った金髪に水色インナーのフリー素材女が出てきて、開口一番「私の名前はルナ!誰がなんと言おうとルナ!」と大胆な主張をしてくる。俺がアレをやった時は一応名前の原型は残したぞ!
神をも恐れぬ無理を通したわりに、ルナという名前が以後作中で使われる事はない。あの腕力にものを言わせたゴリ押しはなんだったのか。とんだフィジカルモンスターだ。
ゲーム中に出てくるちょっとしたセリフもやたらに面白いし、こういった抜き身のセンスを(以下略)
『キーボードオペレーター』~~打鍵変形qwerty賞~~
アレコレ説明するよりもやってもらった方が早いと思うんだけれど、あえて言うならやっぱゲームって総合芸術であると共に、どこかナンセンスというか親近感を持てるというか、いい意味で俗っぽい部分も持てるのが強みだなって。
キーに合わせてギュンギュン変形するのは間違いなくカッコいいんだけど、なんかカッコよすぎて笑っちゃう。嘘だろ!?みたいな。ロボットアニメで合体した後お決まりのポーズ取ってるのを見てると、自然と笑顔になっちゃう感覚があると思うんだけど、あれに近い。
こういうゲームを作る人をクリエイターって呼ぶんだなって思った。
『もじもじフラグメンツ』~~なんもじ?もじもじ!賞~~
( ^ω^)「いきもの?」
出題者「ゃゃゃ」
( ^ω^)「いろ?」
出題者「ゃゃ」
( ^ω^)だめだこいつ、早く何とかしないと……
間違いなくデジタルだから出来るゲームなんだけど、どこかアナログな雰囲気もある。会話という最も原始的な手段をゲーム化するのも見事だし、縛りが設けられることで会話とは違う新たなコミュニケーション手段が産まれていくのも文化の発展的な趣がある。
ここまで多方面的なアプローチをしてくるゲームは今回他になかったと思うし、こういうゲームを作る人をクリエイターって(以下略)
『GROWING GLOWS』~~食べ物で言うとハンバーグとかカレー並の安定感賞~~
ゲーマーの中にこのゲーム好きじゃない人ってこの世に存在するんやろか、って思うレベルで根源的に楽しい。
敵を倒してレベルアップして、スキルツリーで新たな技を開放して、ド派手な範囲攻撃とか属性合体技とか使っちゃうの。明らかに絶対的に楽しすぎてもう、仮面ライダーの「変身!」とかスタァライトの「みんなを、スタァライトしちゃいます!」と同じレベルの鉄板芸だよ。芸ではないけども。
とてもありがたいことに、このゲームも作者さんがソースコードを公開していて、おスキルツリーのおソースコードをおパクりするお許しも出ているので、スキルツリーのあるゲーム作りたいしみんなにも作って欲しい。スタァライトいいよな……間違えた、スキルツリーいいよな……
設置技の中で一生芋るプレイが生存率高くてお気に入りです。当たり屋を許すな。
『SALVAGE』~~僕の心も一本釣りサルベージされそうです賞~~
今回のもっと遊びたい部門で相当上位に入るゲーム。博士と話したりロボ改造したりして、準備が出来たらロボに乗って敵陣に潜りこみボス倒しに行くってフォーマットよくないですか?超好きなんですけど。
もっとも、ロボ改造なんかは締め切りの都合上か今の所未実装なんだけれど、それがまたこのゲームのポテンシャルを思わせて、もっとやらせろ欲を掻き立てる。僕はもう脳内で続きをプレイできるレベルでビジョン見えてるんですけど!
( ^ω^)あと単純に、博士がすっごく可愛いなと……
(^ω^)
『FireWings』~~like our time is running out賞~
気持ちよさ一点突破!被弾時に思いっ切り発火して敵を蹴散らすっていうのも不死鳥感あって良い。
炎の輪を描いて舞うような操作感もお気に入り。ミニマルな美しさがイイネ!
『UnityRoom第5条世紀末見聞録 東京夢怪談・湯煮之巻 【本当にあったヤバい話】』~~こうして並べてみるとタイトルからしてちげえわ賞~~
今回のu1wでこの人が一番フルスイングしてるんじゃないかなってレベルで熱量がエグい。ここまでヌリカミー賞書いててこのゲームが一番言語化に困る。コメントを書いた時も文字制限に詰め込むのに苦労しました。
絵作りの執念も良いし、ゴリゴリにキマってる文章も良いし、スケール感のアスペクト比狂ってる感じも良い。褒める所はいっぱいあって褒めきれないんだけど、地球語ではボキャブラリーが足りてない……。
ゲーム体験のユニークさで言えばそうそうお目にかかれないレベルのセンスが光っており、こういった全裸でフルスイングしてくる方には自然と敬礼をしたくなる。
『POPPIN CUBES』~~こんなにも自分が人間なのが恨めしい事はない賞~~
どんだけ奥深いんだ。これもu1wランカーズ競技なんだけれども、全然詰めきれてないと思う。
パズルとしての自由度と操作量の上限が高すぎて、いくらやっても「これまだまだ詰めれるな」って感じが全然消えない。戦略も出来る事がありすぎる。ハイスコアの限界が全く想像つかない。
人間には遊びきれないポテンシャルが溢れかえってて、どうして俺はAIに産まれなかったんだ……と歯噛みしました。これを完璧に捌ききれる脳みそがあったらどれだけ楽しいだろう……。
これをガチガチにやりこんだ全1のプレイとか見てみたいですね。十中八九どっからどう見てもド変態のプレイになると思う。
以上!!!!ぜぇ、ぜぇ……。こ、今回も品数あったぜ……。
もちろんここに書かなかったゲームにも良いと思ったゲームや、やりこんだゲームなどはありますが、ヌリカミー賞は俺しか考えてなさそうな事を書く賞なので、視点を回せない時は泣く泣く選外になってます。名前がなかったからってそのゲームが好きじゃないわけじゃありませんよ……!
今回のu1wは……なんていうか、すごかったですね。色々と。作品数も期間も重量級で、コッテリ百人前ですよ。
そんな中で少し個人的に心配なのが、これだけ作品数が多いと、それだけ埋もれるゲームも多くなるんじゃねえかって事です。
実際、今回はクオリティの高さに対して閲覧数が比例していないように感じられるゲームが多かった気がします。もっとドッカンドッカン行って4桁乗りそうなゲームもいっぱいあったんですが……。
とはいえプレイヤーも有限ならばプレイヤーの時間も有限ですから、この現象も仕方がないことではあります。
では一個人としての何か出来るかと考えた時、良いと思ったらちゃんと作者さんに良いと伝えるのがとても重要なのではないかと思いました。
閲覧が数百人というだけでも本来ならばスゴイとは思いつつ、これだけ数字がズラズラ並んでると麻痺してしまうというか。
そういった時でも、「ワイはこのゲームめっちゃ好きやで」と伝えるというのはやっぱり不変の価値があるのかなと思いますし、自分はちゃんと好きなのに、言わなかったせいで作者さんがモチベ下がってたらなんか寂しいじゃないですか。
皆さんも作者ゆえにわかると思いますが、自分の作品を褒めてくれる人を邪険に思う事とかないですし、僕ももっと気軽に「良い」と言って行こうと思っています。
このヌリカミー賞とて、そういった「俺はこのゲームに評価されて欲しいんだ」という思いで書いている記事ですから、もしこの記事が作者の方々のモチベになれれば、これ以上嬉しいことはありまアアアアアアアア!!!!!
クソッ、ポエム許容値がオーバーヒートしてしまった!あと少しで締められたのに……。これも今回うんこゲーをプレイできなかったせいなのか。
俺が内なる獣を抑えて正気でいられるうちに、今回はこのくらいでお別れしておきましょう。もうすでにいつ密脱糞の話を始めるか気が気でない。
ブログで書く記事が別件であったせいでタスクのごった煮状態になりましたが、今回も一応書けてよかった。次回も出来たらいいな……。
というわけで、ここまで読んでいただきありがとうございました!次回も書けたらそちらでお会いしましょう~!
それでは次回も~~~~、レッツ!ヌリカミー!
( ^ω^)……。
~終~